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ビジネスマンは上の立場でものを考えることが良いと言われています。管理職は、どうすれば良いのでしょうか?
通常、部下の立場からスタートし、その能力を評価され、昇進して管理職になります。つまり、管理職は自分の経験から、部下の立場で考えることができます。
上の立場で考えるという視点で言えば、部下の時代に管理職の立場で考えることを勧められていたはずです。しかし実際に自分が上の立場である管理職になると、部下時代に考えていたものとは全く違うことに気づくものです。厳しい言い方をすれば、管理職になっても当初は考えも未熟です。管理職の立場で考えることは簡単ではありません。当然、苦労するでしょう。
それでも、さらに今の立場よりももう一つ上の立場で考えることが求められます。そして、上に上がれば上がるほど、上の立場で考えることがより強く求められます。
では、どうすれば良いのでしょうか?
上の立場になれば、管理している業務範囲が広くなります。一部門ではなく、複数の部門を見る必要があります。部門をまたぐ問題や課題、他部門との関係も自分が対処すべきことになります。森と木で例えると、部下の立場であれば木を見ていれば良いです。せいぜい周囲の見える範囲の草木を見ていれば良いです。管理職になるともっと広い範囲、つまり森全体を見なくてはなりません。このように広い範囲を見るというのは、分かりやすい上の立場の視点です。
しかし、それだけでは不十分です。考慮しなくてはならない期間も長くなければなりません。今、目の前の業務をこなし、問題を解決するだけでは不十分です。より効率的に業務をこなし、生産性を上げることにも取り組まなくてはなりません。問題が再発しないように仕組みなどを考えることも必要です。つまり、長い時間軸でものを見なくてはならないのです。
そして、もう一つ、あります。現場の業務は具体的なものが多いです。目で見えやすいものですので、理解しやすいですし、伝えたり共有することも比較的容易です。しかし、立場が上に行けば行くほど業務の内容、議論している内容、考える対象が抽象的なものになります。例えば戦略や戦術、方針などです。とは言え、その抽象的なことと現場の具体的な業務とは乖離していてはいけません。現場で実行できるものでなければなりません。分かりにくい表現かもしれませんが、具象と抽象の両方を同時に考えることが必要なのです。
上司の中には、上司の立場を考えて欲しいという意味で、上の立場でものを考えるように言う人もいます。要は自分が楽をしたいのです。しかし、上司の意図がどうであっても、上の立場で考えることはビジネスマンとして成長するために必要なことです。
より広く、より長い時間軸で、抽象と具象とを同時に見る。言い換えると複数の視座を持つ。上司のためではなく、あなた自身の成長のためという意識を持って、このことに取り組むことをお勧めします。
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長尾 洋介
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